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境の史跡⑪ 御神酒天神を祀る教王山大照院(伏木)
2019年12月02日 00:17
新築された本堂
大政院略縁起
寺院は真言宗豊山派の寺で、「教王山大照院」と号する。本尊は「延命地蔵菩薩」。現住職は第64世下河邊栄晃氏である。
開創は「大政院略縁起」によると、今から1045年以前平安中期、円融天皇の時代、恵心僧都が東国布教の折、当山を開山したと伝える。
恵心僧都の本名は源信(912~1017)と呼ぶ。源信は「往生要集」を著し、浄土教信仰に大きな影響力を与え、中国から高く評価された高僧である。
ある時源信が当山に於いて説法していると、僧にも雷電の仇をなす天満宮(菅原道真)の霊が現れた。道真の霊の活動は雷火を以て象徴され「火雷神」とも呼ばれ、説いて霊を鎮めた。霊は「自画像」を描き置いて飛び去っていった。
後にこの画像に「花を捧げて美酒を供えて供養すれば、たちまち尊影色(肖像画)を出て、面の色が咲きたる如く拝まれ、故にこれを御神酒天神という」。
現在の「天神像」は「縄坐天神」の形式を持つ室町時代の作である。かつては「大政院」とも記されたが、明治の頃「大照院」と改称する。
紫陽花の植えられている坂道の参道を上り詰めた左側に大きな「ボケ封じ観音」が立っている。「年をとったら出しゃばらず」心得を表した観音像である。また、「聖観世音菩薩」.は猿島坂東三十観音第十五番札所となっている。
御詠歌 みやまぢや 木立の中に 宝光寺 琴の音しらぶ 松風のをと (註 宝光寺(廃寺)は大照院の末寺) |
他に寺宝としては、狩野益高が描いた「天井画」や「金剛力士像」(町指定文化財)が安置されている。
本堂は去る11月18日に新築工事が完成し、「落成慶讃」の法要が厳粛に挙行されました。
【文責 郷土史家 中村正己】
第十五番札所である大照院については「境の名所~お寺」でも紹介しています。
「猿島坂東観音札所めぐり」を写したものです。作者である山崎正巳氏(坂東市在住)の許可を得ています。
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