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境の名所~お寺~①

2014年02月16日 23:21

第三番札所

形山ぎょうざん 延命寺えんめいじ    吉 祥きち  じょう 院    真言宗豊山派

境町新吉町974

 

ご詠歌

穢土えどいとい 浄土じょうどにかのう 道全院 

              境の川を 渡る人々

 

参道の先に鐘楼を兼ねた山門さんもんがある。この鐘楼は江戸時代の文化のころ、利根の水運で栄えた境町の豪商箱島善兵衛を初めとする有志の方々の寄進によるもの、と伝えられている。ご本尊は、あらゆる悪をこらしめるため、憤怒形ふんぬぎょうという恐ろしい形相をしておられる不道ふどう明王みょうおう。当札所は十一面観世音菩薩を祀る。

 第三番の札所は、観音霊場が創設された際は町内の狩野かのにあったどう全院ぜんいんが指定された。明治になって道全院が指定された。明治になって全道院が廃寺となり、本寺の吉祥院に併合されてからは当所で行われるようになった、という経緯いきさつがある。しかし、ご詠歌だけはそのまま残り、霊場は移ってもこ詠歌に在りし日の道全院の名が残り、昔日のえにしを留めている。

 境内の左手に、観音霊場三十三所の観音像が並んでいる。これは「うつ巡礼じゅんれい」といって、広範囲の札所をまわることのできない方のために設けられたものである。

 寺宝に、寛永十年(1633)の銘の入った礼盤らいばんがある。礼盤は僧侶が仏を礼拝し、誦経ずきょうする台座のことで、黒を基調とした塗りで、各々の角は朱で面取りがほどこされ、四方上下の角に唐草からくさ模様もようの金具をつけている。江戸時代を代表する第一級の美術品として県の文化財の指定を受けている。

 境内の右端の堂内に、年代を経て痩躯そうくとなられた塩地蔵が祀られている。願いをするとき、塩断しおだちをし、成就すると地蔵様を塩で清めたためこの名がある。

 

山門さんもん…寺院は本来、山中に建立されたものなので、その門を山門と称した。後に、平地や町の中に寺院が建てられるようになっても、山中にあった時代の名残りから、山門と呼ぶ習わしとなっている。

○出鐘…巡礼者が札所の鐘楼で鐘を撞くのは、到着した時だけで、出発する時には決して鐘を撞いてはならないとされている。これを「出鐘」といって札所に参拝した功徳がすべて消えてしまうという。

○ご詠歌…三十一文字で表した和歌で、経文きょうもん読誦どくじゅと同じ功徳くどくがあるとされる。巡礼者は札所ごとにすずを振りながら哀調を帯びた節まわしで歌う。仏の徳をたたえる歌。

 

「猿島坂東観音札所めぐり」(山崎正巳氏著)より

 

第四番札所

三宝山(さんぽうざん) 観音寺(かんのんじ)  (こう) (しゅ) 院  真言宗豊山派

境町塚崎2887-4

ご詠歌

花の庭 香の煙も 香取院 

         みのりの春に 逢うぞ(うれ)しき

 

 

 

 

 

 

 

  長井戸沼干拓地の西側の台地の裾を流れる宮戸川のそばに香取院がある。川をへだてて香取神社が祀られ、かつては神仏が共に祀られていたことが察せられる。

 鐘楼を兼ねた山門は延享元年(1744)の建立と伝えられ、昭和26年、落雷による火災で本堂と観音堂が焼失した折、山門だけは類焼を免れ、昔の香取院の面影を偲ばせている。

 ご本尊は大日如来(だいにちにょらい)(金剛界)、第四札所の聖観世音菩薩は平成八年に新築された二間四面の観音堂に納められている。

 境内の右手に沢山の庚申塔(こうしんとう)が積まれる「百庚申」がある。昭和の初め、出征する兵士とその家族が、武勲と無事を祈願して建てたものである。塔の数は七百三十三基を数え、地元を始め、近県の方々も造立(ぞうりゅう)したこと各々の塔に刻まれた銘によって知ることができる。無事に帰還された方々は今も参拝に訪れるという、

 香取神社の境内では四、七、十一の各月の十五日に獅子舞(ししまい)が奉納される。この獅子舞は古い舞の形が正しく継承され、演技もすぐれていることで、昭和三十五年、県の無形文化財に指定されている。

 以前、四月の獅子舞は五日間ぐらいかけて氏子(うじこ)の家々をまわって歩いた。その折、獅子頭(ししがしら)から垂れる布の中へ頭を入れ、厄払(やくばら)いをする「風掛け(ふうがけ)」という息災を祈る神事が行われていた。

 

 

神仏(しんぶつ)分離(ぶんり)…明治初年、政府が祭政一致お方針に基づいて行った政策で、神仏習合を廃止した。それまで神社は神仏混淆(こんこう)が一般的であった。

庚申…祭神は仏教では青面(しょうめん)金剛(こんごう)帝釈天(たいしゃくてん)神道(しんとう)では猿田彦を祀る。干支の庚申にあたる日に、庚申待ちの祭事が行われる。千年の庚申にあたる日に、庚申待ちの祭事が行われる。

 

「猿島坂東観音札所めぐり」(山崎正巳氏著)より

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